四宮真梨恵
Marie Shinomiya
以前、活版印刷の名刺を見たことがあり、プリンターでは表現できない独特な風合いが魅力的で、いつか自分も活版印刷で何か作りたいと思っていました。会場には、年賀状印刷を目的に参加された方、手作りが好きな方、なかには『活版印刷三日月堂 』(ポプラ社)という書籍をきっかけに活版印刷に興味を持った方など、性別・年齢の偏りなく、さまざまなきっかけでワークショップに興味を持った方が参加していました。
紙を選ぶ
まずは年賀状に使うはがきを選びます。平滑度が高めのつるつるしている紙は、活版印刷では相性が悪くかすれてしまうので、平滑度が低めで質感のあるざらっとした紙が用意されていました。デザインは、山櫻オリジナルの私製はがき「明治復刻版活版絵はがき」と、サクラテラス10周年記念企画で制作した「北斎はがき」から好きな絵柄を20枚選びます。
私はその中でも富士山がデザインされた、おめでたいはがきを選びましたが、他にも額に入れて飾りたいような、レトロなデザインのはがきたちがたくさんありました。
版をセットする
活版印刷の版は、樹脂版と金属製の版の2種類ありますが、金属製の版は、1文字ずつ拾う必要があるため、今回は樹脂版で印刷しました。事前に伝えていた自分の名前と住所を樹脂版にしてもらい、活版印刷機にセットします。
樹脂版で作られた「謹賀新年」の版。
印刷機に組み込むため、枠に締め金などで固定した版面に版を貼り付けます。
版面を印刷機に組み込みます。
紙をセットする
版面に対して紙を活版印刷機にセットします。はがきのサイズによって印字位置が変わるため、サイズごとに何度か見当調整(紙に対する刷り位置の調整)をしながら、印字位置を決定していきます。初期設定は、講師にお迎えした菊川印刷様にお願いしました。
インクをのせる
印刷機の取手をおろすとインキローラーが回り、版にインキがのります。
プレス(印圧)する
インクが版にのったら、紙面に転移させるために圧力を加えます。このとき取手に体重をかけて押し込むため、結構力を使います。終盤は慣れてきましたが、20枚印刷し終わる時はへとへとに。今回使用した活版印刷機は、50年以上前に使われていたと聞きましたが、当時の印刷加工の大変さ、そして現代までの技術の発展に感動しました。
できあがり!
とてもきれいに仕上がりました!
活版印刷独特の「かすれ」と「にじみ」が良い味を出しています。通常は、インクが乾くまでに2日ほどかかるそうですが、今回は相紙(あいし)を挟んでインクが他のはがきに付かないように持ち帰りました。
活版印刷は、現代の印刷方法と比べると時間も労力もかかり、仕上がりも安定していません。しかし、だからこそ1枚1枚には個性があり、手にした瞬間に手作りの温かさを感じます。
今回参加された皆さんが、出来上がった年賀はがきを手に「誰に出そうかな」「この良さが分かる人に出したいな」と、送る人を想像していらっしゃいました。新年のご挨拶として、近況を伝えたいけれど普段なかなか会えない人たちに、こういった温かみのある年賀状で自分の近況を伝えてみるのもいいなと思いました。
SAKURA TERRACE 10周年記念企画 ワークショップ
活版印刷で年賀状作り
〜オリジナルはがきで新年のご挨拶〜
日 時:2018年12月7日(金) 18:00~(所要時間/約1時間)
参加料:1,800円(税込) はがき代込み/お土産つき
場 所:名刺と紙製品の博物館 SAKURA TERRACE(サクラテラス)
東京都墨田区立川3-1-7 ㈱山櫻 墨田支店3F
定 員:8名 完全予約制
活版印刷を体験しながら2019年のオリジナル年賀状を作ることができます。はがきは、山櫻オリジナルの私製はがきである明治復刻版活版絵はがきと、サクラテラス10周年記念企画で制作した北斎はがきをご用意します。当日はお好きな絵柄を20枚選び、ご自身のお名前を活版印刷していただきます。さらに、参加された方には2019年度の各種カレンダーをプレゼントします。
サクラテラスは、名刺・封筒などの紙製品の総合メーカーである株式会社山櫻のショールームです。また、すみだ3M運動の「小さな博物館」にも認定されており、さまざまな企画展やイベントを通して山櫻と山櫻製品を体感できる場、新たなコミュニケーションの場として、お客様と山櫻、地域の方々をつなぐ空間となっています。
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プリンターでは表現できない”凹凸”や”かすれ”など、その独特な風合いがオシャレでかっこいいと、活版印刷が最近ふたたび脚光を浴びはじめています。そんな中、東京都墨田区にある株式会社山櫻のショールーム「SAKURA TERRACE(サクラテラス)」の10周年記念企画として開催された大人向けワークショップ「活版印刷で年賀状作り」に、WATASHINOスタッフ 四宮が参加してきました。今回はワークショップの様子や活版印刷の魅力についてご紹介します。