おすすめシネマ scene3 アウトプットできていますか?映画「十二人の怒れる男」に学ぶディスカッション術
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2017.12.04

おすすめシネマ scene3 アウトプットできていますか?映画「十二人の怒れる男」に学ぶディスカッション術

映画「十二人の怒れる男」は1957年にアメリカで公開された12人の陪審員によるディスカッション・ドラマです。監督は社会派映画の製作で名高い名匠シドニー・ルメット。公開から60年以上経った今でも、映画が取り扱う普遍的なテーマの重要性から多くの人に支持され続け、ビジネスセミナーの教材として扱われることも多い作品です。普段映画を見ない方でも「これは新入社員研修のときに見た」という方も多いはず。審判に辿り着くまでの議論のプロセスは日常の会議やグループディスカッションにも応用でき、この映画のテーマにもなっている「意見を持つこと、伝えること」の大切さを再認識することができます。

また、本作は1室を舞台にほぼ移動することなく展開されるワンシチュエーション映画。1つの机を囲んだ登場人物達の議論を中心に話が進みますが、場面転換がないだけに脚本が命という高度な作りです。それだけに、観客を飽きさせない見事な脚本と俳優陣の手に汗握る演技がより際立っています。陪審員はお互いに名前を明かされず陪審員番号で呼び合いますが、これも余分な情報をそぎ落とし、観客に物語へ集中させるという効果を与えています。三谷幸喜監督がオマージュとして「日本に陪審制があったら」ということをテーマに映画「12人の優しい日本人(1991年)」を手掛けたことでも有名です。

今回はこの映画を通してビジネスに使える議論をする際のポイントに着目していきたいと思います。

12 Angry Men (1957年)

十二人の怒れる男

「意見を持つこと、伝えること」の大切さを再認識

【監督】
 シドニー・ルメット

【キャスト】
 ヘンリー・フォンダ
 リー・J・コッブ
 エド・ベグリー
 マーティン・バルサム

【あらすじ】
父親殺しの罪に問われた少年の裁判で陪審員となった12人。法廷に出された証拠や目撃証言などは少年にとって圧倒的に不利なものだった。審判には12人全員の一致が必要。審議から5分もせず全員一致で有罪になると思われたところ、ただ一人、陪審員8番だけが少年の無罪を主張する。陪審員8番(ヘンリー・フォンダ)の熱意と理路整然とした推理によって、当初は少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心にも徐々に変化が訪れはじめ…。

多数派を疑問視すること

陪審員8番は、周囲に流されず一番初めに無罪を主張した人間です。 しかし、彼は最初から無罪を確信していたわけではありませんでした。有罪派の陪審員7番は評議後にヤンキースの試合を見に行く予定があり、試合のことばかり気にしています。どちらでもいいから早く結論を出して帰りたいといった7番の態度に対して、8番は「人の生死を5分で決めていいものか。疑問があるから話し合いたいんだ。」と言います。

初対面かつ年齢や職業もバラバラで、相手がどのような価値観を持っているかも分からない状況で、8番のような行動を起こせる人間は多くはないのではないでしょうか。確信が持てない状況でも多数派意見に流されず疑問点を見逃さないことが大切です。

  • おすすめシネマ scene3

価値観、思い込みを除く

被告はスラム育ちの18歳の少年でした。有罪派の意見としては、目撃者の証言や事件当初のアリバイが不確かなことを挙げており、一見客観的に発言しているように思われます。しかし議論が進むにつれて、少しずつスラム育ちという少年の生い立ちを通して発言している人物が現れ始めます。その人物に対して、別の陪審員が「個人的な偏見を含まずに考えるのは難しい。偏見はいつも真実を隠してしまう。」と諭します。

映画の中では偏見というネガティブな要素が真実を見えなくさせると言っていますが、偏見に限らず、価値観や思い込みによって事実が見えにくくなるということもあります。普段私たちが物事を考えるうえでも、自身の経験から「~~ということは、きっと〇〇なんじゃないか」と物事を結論付ける傾向があります。経験も重要な判断材料ですが、自分がどのような価値観を持つ人間なのかを考え、「だからこういう思い込みがあるのかもしれない」と気づくことが大切です。

納得できる結論を

この映画では集団の中で自分の意見を持つことの難しさ、そして議論したうえで納得のいく結論をだすことの素晴らしさを教えてくれます。現実のビジネスでは、「有罪」「無罪」のように選択肢が2つとは限りません。解決策を自分たちで見つけなければならないパターンの方が多いとも思われます。自分が議題に対してどのような考えを持っているのかしっかりとした信念を持ち、かつ8番のように疑問があれば手を挙げることが大事です。

映画の中の陪審員たちが最終的にどのような結論を導き出したのか知りたい方は、ぜひ映画をご覧いただきたいと思います。13番目の陪審員として参加してみるのも楽しいかもしれませんね。

profile

四宮真梨恵

Marie Shinomiya

映画好きの母の影響で、幼い頃から映画のある生活が当たり前。大学時代は映画研究会に所属し、映画製作に熱中していた。これまでに鑑賞した映画は、約900本に上り、今もその数を更新し続けている。

パーソナルカラー:サマー(夏)

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