オーガニックコットンの実情
The reality of organic cotton
「オーガニックコットン」というと、みなさんはどのようなことを思い浮かべますか?「お肌に優しい」とか「赤ちゃんにも使える」というような印象でしょうか?
2年前の秋に行われた「One Planet Paper Fes 2017」で、一般社団法人エシカル協会※1 代表理事 末吉里花さんがプレゼンテーターとしてお話ししてくださった内容がとても衝撃的でした。綿は無農薬で栽培するのが難しいそうで、かなりの化学肥料と農薬が使われ、それによって中毒などの健康被害を起こす人たちがたくさんいるというのです。
それまで、コットン製品を選ぶときに、生産者のことまで考えたことはありませんでしたが、定められた有機肥料などによる土壌づくりを行い、禁止されている農薬を使わずに栽培されるオーガニックコットンを選ぶということは、生産者や地球にやさしいものを選んでいることになるということを知りました。後で気になって調べていると、「普通に栽培された綿でも、残留農薬はとても少ないので、収穫されたものから科学的なテストなどでオーガニックかどうかを判別することは不可能(引用:日本オーガニック・コットン協会ホームページ)」という記載を見つけました。オーガニックコットンだから品質が高いというのは、勘違いだったのですね(もちろん安心にはつながるけれど)。
※1 一般社団法人エシカル協会
一般社団法人エシカル協会は、2010年から代表の末吉里花が中心となってフェアトレード・コンシェルジュ講座(現エシカル・コンシェルジュ講座)を毎年開いたことをきっかけに、受講生たちのネットワークをさらに強化させ、日本にエシカルな考え方を広げるために2015年11月11日に設立されました。設立当時、エシカルという名がつく団体は他にはなく、日本ではエシカルの活動や流れを牽引してきたパイオニア的存在となっています。
→ 一般社団法人エシカル協会について詳しくはこちら
エシカルとは
What is ETHICAL?
末吉さんがお話ししてくださったテーマは、組織名にもなっている「エシカル(ethical)」。これは英語で「倫理的な」「道徳的な」という意味で、派生して「人、社会、地球のことを考慮した」というようなニュアンスで使われるものだそうです。つまり、コットン製品を購入する際に、オーガニックコットンを選ぶということは、エシカルな選択をしているということになります。「エシカル」というワードは、日本でも2008年に雑誌『Pen』で使われ、その後も雑誌などでは度々取り上げられているようですが、まだ浸透している印象はありませんよね。
(参考:「まだ“エシカル”を知らないあなたへ」デルフィス エシカル・プロジェクト)
でも、「エコ」「フェアトレード」「持続可能な」「社会貢献」という言葉なら馴染みがあるのではないでしょうか。それらを包括した言葉が「エシカル」ということです。
選ぶということ・選ばないということ
To choose or Not to choose
オーガニックコットンの話をきっかけに、自分が買うもの、使うものについて考えるようになりました。オーガニックコットンをチョイスするというのもエシカル。発展途上国の人たちの低賃金で過酷な労働の上に成り立っているかもしれない、安くて手軽なファストファッションは選ばないというのもエシカル。すぐに捨てずにリサイクルまたはアップサイクルするのもエシカル。地産地消もエシカル…。(こうしてみるとなかなか便利な言葉です、エシカル。笑)
私たちの消費行動が、地球環境や人権問題、貧困問題などさまざまなところに影響を及ぼしているかもしれない。選ぶ側が、手に取ったソレはどこでどのようにどんな人たちによって作られたか、どのように手元に届くのかに思いを馳せ、責任を持って選ぶ、ときには選ばないことが必要なのだなと、深く考えさせられました。
製品を選ぶ際に、それが公的機関に認証されたものだとより安心できますよね。オーガニックコットンに関する公的認証、認証機関をいくつかご紹介します。
GOTS(GLOBAL ORGANIC TEXTILE STANDARD)
…オーガニック繊維製品世界基準認証機関 → 詳しくはこちら
GOTSはオーガニック繊維の世界的な基準を定めた機関で、ドイツ、英国、米国、日本の4つの認証機関によってつくられたそうです。
IVN(International Association Natural Textile Industry)…ドイツの機関
SA(Soil Association)…英国の機関
OTA(Organic Trade Association)…米国の機関
JOCA(Japan Organic Cotton Association)…日本
この認証マークがついているものは、GOTS認証製品です。
参照: GOTSホームページ
オーガニック繊維が95%以上使われていることを表しています。
オーガニック繊維が70~94%使われていることを表しています。
また、上記の日本オーガニックコットン協会(JOCA)も、独自のタグをつくっています。JOCAに認証された企業が製品にこのタグをつけることができるようです。
JOCAタグ
メッセージ「この製品はJOCAメンバー企業が、認証を受けたオーガニック材料から、人と環境に配慮した方法で、日本の技術と感性を生かして作りました。」
(トレーサビリティの第三者認証取得)
ファミリータグ
メッセージ「この製品は、JOCA憲章にもとづき、オーガニックコットン製品の普及をめざすJOCAメンバー企業が、人と環境に配慮した方法で、日本の技術と感性を生かして作りました。」
わたしの選択
WATASHINO CHOICE
あれから2年…。全てを変えるところまではいっていませんが、ファッションアイテムや身近な日用品、食料品など、レジカウンターに持っていく前に、ネットショッピングでポチッとする前に、少し立ち止まるようになりました。私が購入したエシカル製品と、そのブランドを一部ご紹介します。
People Tree
ピープルツリー
オーガニックコットンのウェアを中心としたエシカルファッションとフェアトレード商品専門のブランド。フェアトレードによってつくられたオーガニックコットンをはじめとした手仕事の商品を通じて、途上国の自立を支援している。
英国の代表的なオーガニック認証機関Soil Association(ソイル・アソシエーション、 SA)よりGOTS認証を得ている。
SALASUSU
サラスースー
「LIFE JOURNEY (人生の旅)」をテーマに、作り手と買い手がお互いの人生を応援するような関係性を紡いでいくことを目指しているカンボジア発のライフスタイルブランド。 カンボジアに構えている工房では、教育の機会に恵まれなかった経済的に困難な背景をもつ女性たちが働いている。製品を買うことが、ここで働く女性たちの支援につながる。
SDGsとの関連
Rlation to SDGs
消費者としてエシカルを意識するということは、SDGsの17の目標に近づく第一歩と言っても過言ではないでしょう。まず、エシカル消費自体が、目標12「つくる責任 つかう責任」の「つかう責任」に当たります。また、選ぶモノ(その製品を提供する企業の取り組み)によって、関連するSDGsの目標も変わってくると思います。
例えば、オーガニックコットンを選択することは、目標3「すべての人に健康と福祉を」や目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献することになるでしょうし、それがフェアトレード製品であれば、目標1「貧困をなくそう」や目標8「働きがいも経済成長も」を支援することにつながるかもしれません。その製品や製品を提供している企業が取り組んでいる事柄次第で、関連する目標も変わると思います。
スタッフの感想
WATASHINO VOICE
今回は、私が「エシカル消費」を意識するきっかけになったオーガニックコットンを中心に、SDGsへの取り組み方をご紹介しました。私自身、少し目線が変わったことで、消費行動にも変化がありました。そして今後も、少しずつでも行動を変えていけたらと思っています。
この記事が、読んで下さった方が「エシカル消費」について知る、考える、そして行動する何かのきっかけになればうれしいです。みなさんもエシカル・コンシューマーになりませんか?
相原香子
Kyoko Aihara
パーソナルカラー:スプリング(春)
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SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。しかしSDGsの重要性は認識しながらも、いざ取り組むとなると、具体的にどのように活用していけばよいかわからないという声が多いのも現状。
そこでWATASHINOでは、「WATASHINO SDGs(私のSDGs)」と題して、スタッフがSDGsの身近な取り組みや活用方法などをご紹介しています。今回は、「エシカル消費のススメ ~オーガニックコットンという選択~」というテーマでスタッフ 相原がご紹介します。