「気持ちがネガティブな人よりも
元気でポジティブな人が印象に残りますね」
―初対面で印象が残る人はどのような人ですか?
仕事関係でお会いする方に限らず、ポジティブなオーラを持っている人は印象に残ります。その人が持っている熱というか、エネルギーがこちらまで伝わってくるんですよね。採用面接でも感じることですが、仕事が出来るというのを判断するにあたって、履歴書や学校の成績というのは当てにならないし、実際仕事をしているところを見ないと分かりません。
能力が高いからといって、その人にその仕事が合うとも限らない。しかし、その人が「いいエネルギーを持っているな」というのは直接お会いして感じことがあります。やはり気持ちがネガティブな人よりも、元気でポジティブな人が印象に残りますね。
―第一印象として、社長自身が意識していることはありますか?
目ぢからというのは意識します。欧米の方は、最初にお会いしたときに握手をして、相手の目をじっと見ますよね。子供のころからそう訓練されるようです。ですから外国の方と会って握手をするときは、目をきちんと見ることは意識してやります。私自身小さい頃から「相手の目を見て話しなさい」と親からよく言われました。人と話すときに相手の顔を見ないとか、伏し目がちな人はNGですね。
―服装に関するポイント・こだわりはありますか?
人に不快感を与えないように心がけている程度でおしゃれじゃありません。他人に対しても、着ていたもので何かを感じるということは無いです。 あっ、靴は自然と見てしまいますね。靴がきれいな人はきちんとした印象を持ちます…。身の丈にあっていない服を着るよりも、普通に見えるのに実は凄い人、といった人の方が好感を持ちますね。
「ゴルフを一緒にすると
相手がどんな人なのかがよく分かります」
―ビジネスにおけるゴルフの効能について教えてください。
ゴルフを一緒にすると、相手がどんな人なのかがよく分かります。もともとゴルフというのはベストスコアを毎回更新できるものではなく、10回中8回は「今日もダメだった」となるものです。ナイスショットもあれば、当然ミスショットもあり、うまくいかない事の方が多いくらいです。
スコアが悪くなれば機嫌も悪くなりますし、ミスしたり運が悪かったりすれば愚痴もこぼれるものです。そんな時に、どう振舞うか。人間というのは、調子が良いときよりも悪いときの方に本質が表れるもので、相手を理解したり自分の事をよく知ってもらう機会としてもゴルフは有効だと思います。
―高校・大学時代ともにゴルフ部に所属され、ゴルフがその後何十年も続く仕事になったのですね。
高校のときに学校のゴルフ部に所属してから、ゴルフを止めようと思ったことは一度もありません。ゴルフはメンタル面が重要なスポーツで、うまくいかないことが多いからこそ、悪い状況をどう乗り越えるかというセルフコントロール力が試されます。ですからメンタル面は鍛えられますが、「うまくいかないことも、楽しもう」というスタンスが自分には合っているのだと思います。社員にもよく言いますが、ゴルフは本当に色々なことを教えてくれますよ。
「紙とデジタル、何を使うか選ぶのは“ 読者 ”」
―最近ではゴルフ関連の商品もネットでの購入が増えていると思いますが、ゴルフダイジェスト社とゴルフダイジェスト・オンラインの事業分野はどのように異なるのですか?
弊社は出版業から始まり、ゴルフのカレンダーやゴルフトラベル、またゴルフ会員権の売買などを手掛けています。1990年代の後半にインターネットが普及し、紙が減るのではと言われはじめた時代、当時社内にネット事業部はありましたが出版社のため紙を守るという意識が先に来ていました。
そんなとき、私の従兄弟(株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 石坂信也代表取締役社長) がアメリカのビジネススクールから戻り、ゴルフのネットビジネスをやりたいと話がありました。そこでゴルフダイジェスト社のサーバーや人員すべてを託して、ゴルフダイジェスト・オンラインを2000年に立ち上げました。ゴルフダイジェスト社は紙(アナログ)に、ゴルフダイジェスト・オンラインはデジタルに特化してやろうと。デジタルでのゴルフ場の予約とeコマース、そしてデジタルメディアという3本柱からなっています。ゴルフを扱っていても企業文化はまったく違う会社になりました。マザーズから東証一部へ上場し、おかげさまで成長を続けています。
ゴルフダイジェスト社もここ5年くらいは電子雑誌や電子コミック、ソーシャルメディアにも力を入れています。今では「みんなのゴルフダイジェスト」というウェブメディアが好評です。開発会社を社内グループに取り入れることで雑誌のコンテンツがすぐにスマホに置き換えられる使い易いものを作りました。今でも業界内では紙は残ると言われ続けてますが、正直分かりません。それは読者(ユーザー)が決めることです。紙はもちろんスマートフォン・タブレット・PC、ユーザーが選べるように全部用意しています。
―これからの目標とか目指すものはありますか?
高齢化が加速する日本では、いかに健康的に長生きするかが大きな課題となっています。アクティブシニアの多いゴルフの盛んな市町村では、医療費負担が少ないことが分かりました。
芝の上を歩くことは健康に良いし、ゴルフの話題で周囲とコミュニケーションをとるので、元気なお年寄りが多いそうです。ゴルフは激しいスポーツではないので、仕事を辞めた後もずっと続けられます。最近では、一人でゴルフ場に行く人も増えていますよ。GDOの予約サイトでも「1人予約」という項目があります。
「"オリンピック競技に復活したゴルフだが
いまだに税金がかかっている」
ゴルフはいまだに税金がかかる唯一のスポーツです。以前は、ボウリング場など贅沢な遊びに課される娯楽施設利用税でしたが、現在でもゴルフ場利用税と改称され存続しています。スポーツに税金を課すのはおかしいのではないかとゴルフ界では問題にしているんです。ゴルフはオリンピック競技にもなる国際競技ですからね。国家公務員倫理規定で利害関係者とのゴルフ禁止と明記されているのも解せません。日米首脳会談の前に両首脳がゴルフを楽しむ時代なんですから。
「 Play Golf! 」
―若い人に向けてメッセージをお願いします。
Play Golf! ゴルフは色々なことを教えてくれます。人生を楽しむための色々な気付きをもらえるので、ぜひゴルフをしてください。
木村 玄一
Genichi Kimura
株式会社ゴルフダイジェスト社 代表取締役社長。
慶應義塾大学法学部卒業。
昭和61年4月 大日本印刷株式会社入社。
平成9年11月 株式会社ゴルフダイジェスト社 代表取締役社長就任。
株式会社ゴルフダイジェスト社
所在地/東京都港区
概 要/ゴルフ専門雑誌及び書籍の出版・販売
取材後記
木村社長の温かく落ち着いた風格は、ゴルフで積み重ねた経験からくるものかもしれません。発する言葉には明るさと自信があり、周りに流されないような芯の強さを感じました。人の外見に捉われないのは、本質を見抜く術を身に付けているからではないでしょうか。将来的にはどのような夢を持っているのかと聞くと「日本のゴルフのことを、もっと世界のゴルファーに知ってもらいたい」と語る木村社長から、ゴルフ界の未来に熱意を感じました。
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1961年の創刊当初から安定した人気を誇るゴルフ雑誌『ゴルフダイジェスト』。コンテンツの充実と徹底した分析力で数多くのゴルフファンに支持され、月刊、週刊ともにNo.1の部数を誇る。読者はビジネスマンが多く、医者や経営者などエグゼクティブからの人気も高い雑誌だ。
今回は、『月刊ゴルフダイジェスト』始め、ゴルフ専門雑誌及び書籍の出版・販売をするゴルフダイジェスト社の木村社長に、経営者から見る印象に残る人物について、そしてビジネスにおけるゴルフの効能についてお話を伺った。